[Bass] Paul Lairat - Stegaを試奏してきた
珍しいベースを試奏してきました。
Paul LairatのStegaです。
まずそのルックスに目が釘付けになりました。ボディ部分をくり抜いたようなそのフォルムに誰もが立ち止まることでしょう。ボディのソリッド部分はトップがWalnut、中心はMaple、そしてバックはMahoganyという3層構造で、そのソリッド部分を囲むように板状の合板を曲げて接着してあり、それらの中心部分にはWenge、Walnut、Mahogany、そしてMapleを組み合わせた11ピースのスルーネックが通っているという手の込んだ仕様となっていました。指板もWalnutというあまりない仕様でした。
ピックアップはDelanoのXtenderが内蔵され、プリアンプはJohn Eastの3バンドが内蔵されていました。
そしてヘッド部分はスケルトンヘッドという、スルーネックのヘッド部分をくり抜くという独特の形状になっていました。スルーネックの材そのものがヘッドまで続いているのが写真でおわかりいだけるかと思います。ちなみにこのヘッド部分だけMapleをトップ材として貼り合わせているようです。
実際に触れてみた感想は、まず見た目ほど軽くないという印象を受けました。それでも体感的に4kg前後だと思うので軽い部類には入るとは思います。触った感じでは使用している木材、特にボディ材がしっかり詰まっていそうな印象を受けました。そして構えた時のバランスと右肘が当たる部分にあるコンターの快適さなど演奏性はとても良かったです。ボディ形状も良く出来ていて、座った際の右足に当たる部分が滑らかでローポジションに手が届きやすかったです。
そして音色は独特の風合いを持っており、Wengeの逞しい中低域を基調にホローボディのような箱鳴り感もあり、ローBを含めた低域の鳴り方がとても豊かで暖かみのある音でした。弦の振動がボディにしっかり伝わっているようで、特に右肘部分に振動がよく伝わってきていました。音色そのものは違うんですが、
Fodera - Anthony Jackson Presentationのようなアコースティック感を孕んでいて、そこにDelanoピックアップのカラーリングが出ているような出音でした。DelanoのピックアップはDelanoらしいカラーを持っていますが、使用材の特徴もきちんと活かしてくれるので個人的に好きなピックアップです。個人的にはピック弾きにも相性が良いのではないかと思いました。
そしてJohn Eastのプリアンプですが、正直言って自分にはちょっと使いにくかったです。そもそもプリアンプ自体なくても良いのではという印象でした。というのもアクティブ時とパッシブ時の音色変化が顕著過ぎるのと、パッシブ状態ですでに音の完成度がとても高く、それならパッシブだけでも良いのではと感じました。私はGlockenklangのようなパッシブ音に味付けをするタイプのプリアンプが好みでして、フラットにも拘わらずプリアンプを通しただけで大幅に低域が持ち上げられるような今回のプリアンプはちょっと使いにくい印象を受けました。相対的に中高域より上の抜けが悪く聞こえるんですよね。実際に試奏していた際はハイを加えローを若干削るといったセッティングが自分としてはしっくり来ました。
こちらの動画で使用されているStegaはMaple指板らしいアタック感が強く出ているようで、先に述べたように使用材の特性が良く出ている個体だと思います。Delanoのカラーも結構強く出ています。まだまだ日本ではあまり知られていないメーカーですが、個人的にはこのPaul Lairatは結構好みでした。オーダーするなら6弦仕様でヘッドは大きさを考慮してソリッドタイプ、ネックのWenge部分は少し減らす方向で音色のバランス調整をお願いすると思います。
独特のルックスに高いレベルの木工技術、そしてふくよかなアコースティック感を持つPaul Lairat - Stega。機会があれば是非お試し下さいませ。
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Paul Lairat
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