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[Bass] MTDのベースを色々試奏してきた

ちょっと前にMTD(Michael Tobias Design)のベースを3本ほど試奏していたんですが、まだ感想を書いていなかったのでまとめて書きたいと思います。


(photo by 三木楽器)

まずはボディにMakore(マコレ)が使われているものから。2011年のNAMMモデルだそうです。何でもMakoreはMichael Tobias(マイケル・トバイアス)氏が最近気に入っている木材だとか。触れた感じは割とさらっとしていてきめ細かい印象でした。とても心地良かったです。

弾いてみた感想は、MTDお得意の金属感あるアコースティック感に富んだ弦鳴りと、少しコンプレス感があって粘る感じの音色が程よく出ていながらパンチがあって、アッシュを少しだけ落ち着かせたような感じでした。緩やかにレンジが広いといった印象でしょうか。恐らくこの辺りはローズ指板の影響もあるかと思います。派手にもなるし大人しくもなる万能型といった印象でした。


(photo by 三木楽器)

続いては数百年間水の中で沈んでいたRedwoodをトップに用いた6弦モデルです。これは2012年のNAMMモデルらしいです。Redwoodというとその名の通り赤みの強い木材なんですが、長い間水の中に晒されて木炭のように黒くなっています。これには驚かされました。

そして音色なんですが、アッシュボディにメイプル指板というスペックなので、先のMakoreモデルよりもっとハイが強くてパンチの効いた音が出るかと思っていたらこれが意外。確かに図太くて硬い低音なんですが、見た目に反してハイがかなり大人しいんですよね。これには正直面食らいました。もしかしたらバーズアイメイプルが従来のものよりもさらに柔らかい素材だったのでしょうか。クリスピーなハイを求める方には不向きかも知れませんが、MTDで硬いローを鳴らしまくりたい方にはうってつけかも知れません。


(photo by 三木楽器)

そして最後は先と同じく2012年のNAMMモデルです。こちらはウォルナットボディなんですが、何と言っても注目すべきポイントは指板材。実はこれ、ピスタチオを使用しているそうです。ピスタチオ材を使ったベースはおろか、ピスタチオの木材そのものに触れるのも恐らく初めてだったのでとても楽しみでした。触れた感じは軽くてカラッとしていて、とても良い手触りでした。

そして出音なんですがこれも意外。しかしとても好みでした。ウォルナットボディということで、落ち着いた暖かみのある音を想像していたんですが、それだけに留まらずとてもキラキラした明るい高音が出てとても心地が良かったです。Andrew GoucheのようにプリアンプのEQをフルブーストしてチリチリブリブリした音を思い切り堪能することも可能なんですが、個人的にはほんの少しハイを加えてコードを奏でるととても優しく明るい響いて素敵でした。これがピスタチオ指板の特性なのでしょうか。願わくはこれで6弦仕様のものを弾いてみたいです。


J.S. Bach's "Jesu, Joy of Man's Desiring" by Norm Stockton

Norm Stocktonが奏でる音色は暖かみがあって好きです。選曲の影響もあって素敵です。

三者三様のMTDを弾き比べて感じたことは、MTDはとても個体差のある楽器だなと強く感じました。しかしそれは各木材が持つポテンシャルを余すことなく引き出しているMichael Tobias氏の腕があるからこそのなんだと思います。出会う度にどういう鳴り方をするのか触ってみたくなる魅力を放つMTD。機会があればこれからも色々触ってみたいです。

<関連リンク>
Michael Tobias Design
MTD[マイケル・トバイアス・デザイン] 535-24 Quit Makore Top (2011 NAMM Show)
MTD[マイケル・トバイアス・デザイン] 635-24 Water cured black redwood burl (2012 NAMM Show)
MTD[マイケル・トバイアス・デザイン] 535-24 Walnut body (2012 NAMM Show)